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首都圏だけでなく地方都市でも…タワーマンションが増える理由とは? 「すぐに完売する」のは本当?
首都圏で見掛けることが多い「タワーマンション」ですが、最近は地方都市でも増えているようです。タワーマンションが全国的に増え続けているのはなぜでしょうか。また、「すぐに完売する」という話をよく聞きますが、本当なのでしょうか。不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の竹内英二さんに聞きました。 【画像】地方都市でタワーマンションが増える3つの理由を解説
建設に適した土地が多い
Q.そもそも、タワーマンションの定義について、教えてください。どのような建物を「タワーマンション」と呼ぶのでしょうか。
竹内さん「タワーマンションは一般用語であり、法律用語のように正確な定義はありません。一般的には、20階以上のマンションをタワーマンションと呼ぶことが多いようです。 住宅は1階当たりの階高が一般に約3メートルであるため、20階以上の建物になると高さが60メートル以上となります。そのため、高さが60メートル以上のマンションをタワーマンションと考えている人もいます。高さも60メートル『以上』なのか『超』なのかも人それぞれです。 いずれにしても正式な定義は存在せず、おおむね20階以上のタワー状の超高層マンションが、タワーマンションと呼ばれているのではないでしょうか」
Q.首都圏だけでなく、地方都市でもタワーマンションが増え続けているようです。なぜでしょうか。
竹内さん「近年、人口が東京に集中する『東京一極集中』のような現象が、地方都市でも発生しているからです。日本の総人口は年々減少していますが、市区町村単位で見ると、周辺の市区町村から人が流入し、人口が増加している地方都市もあります。 一方、地方都市の中心市街地ではオフィスビルの撤退が続いており、タワーマンションに適した広い土地が売りに出されることも多いです。中心市街地は容積率(敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合)が高く指定されており、比較的高層マンションを建てやすい土地です。 このように地方都市では、周辺の市町村から人が集まる『需要』とタワーマンション用地の『供給』が合致しており、タワーマンションが増えているのです」
Q.新築のタワーマンションは、すぐに完売するケースが比較的多いと聞きます。なぜでしょうか。考えられる理由について、教えてください。
竹内さん「『タワーマンションだから』といって、すぐに完売するわけではありません。立地の良いマンションは、タワーマンションに限らず、すぐに完売しています。タワーマンションは比較的立地の良い物件が多いことから、すぐに売れる傾向があります。 また、すぐに売れるかどうかは売り方にもよります。近年のタワーマンションの売り方は、分譲期を複数回に分けて少しずつ売っていくケースが多いです。1回の販売戸数が少ないことから、すぐに売れることがよくあります。 さらに、投資家や資産家がタワーマンションを購入するケースも多いです。投資家などは投資目的で最初から上層階の物件を狙っており、売りに出たらすぐに購入するケースも見受けられます。 立地の良さや分譲方法、投資家の存在などから、タワーマンションは比較的完売が早い傾向があるといえます」
Q.では、タワーマンションは、居住目的で購入するよりも、投資目的で購入するのに向いている物件なのでしょうか。タワーマンションに住むメリット、デメリットも含めて教えてください。
竹内さん「物件にもよりますが、都市部のタワーマンションの中には、3分の1程度の人が、投資や相続税の節税などの目的で購入しているケースもあります。この場合、3分の2の人が自分で住む目的で購入しているということになります。投資目的の人がいたとしても、タワーマンションは基本的に半数以上の人が自分で住む目的で購入しているため、自分で住むために購入するという目的で特に問題はありません。 タワーマンションに住むメリットは、豪華な共用施設が利用できることで、特に上層階の場合、一般的なマンションにはない眺望の良さが魅力です。デメリットとしては、一般的なマンションよりも管理費や修繕積立金が割高になるという点が挙げられます」
Q.「タワーマンションは、高層階よりも低層階(10階以下)の方が価格(家賃)が安い」という話をよく聞きますが、本当なのでしょうか。
竹内さん「タワーマンションに限らず、マンションの価格は上層階に行くほど価格や賃料が高くなります。上層階は、眺望や日当たりの条件が良くなるためです。一方、下層階は、眺望や日当たりの面で劣ります。特に1~2階の物件の場合、セキュリティー面でも劣ってしまいます。 低層階は、高層階に比べると条件が劣る部分が多いため、その分、価格や賃料が安くなっているのです。もちろん、価格面を重視して低層階を選ぶ人もいらっしゃいます」
Q.タワーマンションは、戸建てやマンション(19階以下の物件)よりも資産価値が高い物件なのでしょうか。それとも、これらの物件よりも資産価値が低い傾向にあるのでしょうか。
竹内さん「マンションの価値は、立地条件の他に『階数』や築年数、バルコニーの向き、面積、間取り、室内設備、仕上げの質、共用設備などによって決まります。先述のように、階数が高いほど価格が高くなるため、タワーマンション内の高層階の物件は、資産価値が高くなる傾向があります。 ただし、低層マンションでも高級邸宅風の物件など、タワーマンション以外でも資産価値の高いマンションは存在します。戸建てであっても閑静な高級住宅街にある物件は資産価値が高いです。 一概にタワーマンションだから資産価値が高いわけではなく、条件が優れている不動産であれば、タワーマンションかどうかにかかわらず、資産価値は高いということになります」
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